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【追悼】もとはしさんとの出会いから、私のNTT研究所での2年間のGFは始まりました
優秀な研究者が亡くなったという知らせを先週受けました。
あまりにも早過ぎます。もとはしさんとの思い出を
感謝の気持ちを込めて、ここに紹介したいと思います。

(もとはしさんの功績だけでなく、もとはしさんのお人柄、もとはしさんのかけてくれた言葉の数々を語り継ぐのが、私たちが出来る恩返しではないかと思います。もとはしさんをよく知るみなさま。みなさんがそれぞれ知るもとはしさんの想い出もぜひお会いしたときにお聞かせください)↑ 画像をクリックすると拡大して見られます。

私のNTT研究所での2年間のGFは
もとはしさんのあの優しい笑顔から始まりました。

2006年の当時(14年前!)の私はまだ
この「会議で絵を描く」という天職に出会ったばかりで
「グラフィックファシリテーター」という肩書きを考え出す以前、
「グラフィックファシリテーション」という言葉すらまだ世に無いときでした。

どんな話し合いも描いてみたくてウズウズしていたときですが
さすがに依頼の内容を聞いてヒヨりました。

金曜の夕方、大手町にいろんな専門の研究者の方たちが集まり
アメリカ帰りのもとはしさんの次世代無線技術動向の話を聞いて
議論をするというもの。

「???!」「研究所」で「研究者が集まる」場で、
テーマは「アメリカの最新技術」の話で
しかも目に見えない「無線」について!?

「無線…って???」
当時は確かまだADSLの時代。
ネットの接続にすら手こずる私に、、、描けるのか?!

当日の資料(スライド)は当日持ち込みという。
事務局の方に「だいたいでいいのでどんなお話になりますか?」と聞いても
「アメリカの最新技術の話なので我々もどんな話をされるのか分かりません」
そりゃそうだ。しかし私は、皆さんが知ってて当然のことすら知らない。
それが何かも分からないので、とにかくキーワードだけ聴き出して

とにかく後は家に帰って役に立つのか立たないのか分からないまま
付け焼き刃で勉強して臨みました。
IEEEって?!WiMaxって何だっけ?UWBって何?
「そうか〜無線の反対は有線か〜!」なんてところから始まろ
そもそもNTTのサービスって?何を研究しているの?!エトセトラエトセトラ…

もう頭はパンク状態。不安はさらに大きくなり、、、

研究員の人たちって、細かそう、厳しそう、難しそう…
そもそも「もとはしさん」って、どんな人?
社内外でかなりの有名人だというけどアメリカ帰り?!
聡明?キレッキレ?早口?英語多用?超クール?

妄想膨らみ過ぎて当日はもう緊張マックスでした。しかし、そこへ現れたのが、
サスペンダーにハンチング帽!?
丸い眼鏡にニコニコ笑顔のもとはしさんでした。

そして、すでに昔からの友達のように
「今日は楽しみにしてますよ〜」と寄ってくる。

「へ?!こんな研究員の方っているの?!しかもNTTに?!」
と腰が抜けるほど、、、癒されました(≧◇≦)

しかし実際、議論が始まると、未知の世界の話は
私にとってはすべてが「最新」だらけで、とにかく
すべて聞こえたものは描いて、描いて、描くしかなく、、、

その時の絵巻物を今、見返すと、もうこんな絵しか描けなかったのか!
と恥ずかしくてしょうがないのですが、恥をしのんで紹介します。
もとはしさんへの感謝いっぱい、想い出いっぱいの絵巻物。

(それにしても懐かしい、、、時代を感じる、、、
 FOMA、Wifiがアングラ系なんて言われていたり、
 MiMO(マイモ〜!)アドホックネットワーク、、、)

もとはしさんとのやりとりで忘れられないのが
7枚目の絵の下。「UWB」という文字の横に
ウルトラマンの絵が描いてあるのですが付け焼き刃で勉強した中に確かあった「ウルトラワイドバンド」
え〜っと何だっけ?と思いながらとっさに描いちゃったのがコレ。
このとき私がした説明(グラフィックフィードバック)は今でも覚えてます。

「え〜っと(汗)なんでウルトラマンかというと、確か、UWBって
広帯域でとにかく短距離だけどドカンと届けられるとかいう…
なんかこう3分しか持たないウルトラマンのスペシウム光線みたいな感じ!
と思って、とっさに描けたのがウルトラマンでして…」とほほ。

すると、もとはしさん、なんて言ったと思います?
めちゃくちゃニコニコ笑顔で

「そう!そんな感じ!」

他の研究員の方も、なぜか皆さんめちゃくちゃ笑顔。

「へ?こんなんでいいんですか?!」と聞き返したら
「いいのいいの!これでいいの!これがいいの!」
「研究員でも専門が違えば全然分かってないことあるんですよ」
「分かった気になって黙って帰っちゃうのが一番問題」

その後、研究者同士の議論の閉塞感などを教えていただき
「技術だけの話をしていても意味が無い。
 ゆにさんのように使う人の声こそ聞けることがいいんですよ」と

私の脊髄反射の言いたい放題のグラフィックフィードバックを
その後もとにかくすご〜く喜んでくれた、もとはしさん。

今でも、あの、もとはしさんの第一声
「そう!そんな感じ!」を思い出します。

当時、会議で絵を描き始めたばかりの私は、まだ
「こんな汚い絵なのに
 どうして皆さんがこんなに喜んでくれるんだろう?」
と理解できていませんでした。

それが、もとはしさんの会話から見えてきた瞬間でした。

普段の会議では「そう!そんな感じ!」という会話は
許されていないということ。根拠や数字が必要で、
要点をまとめて結論から述べるべきであり
「なんか違うんだよな〜」は偉い人は言えても一社員は許されない。

でも、みんな共有したかったのは
「なんか違うんだよ〜」「そうそうこんな感じ」という会話。
これが第三者が描いた絵巻物の前なら許されるんだ!と。
そしてそんな「うまく言葉に出来ないこと」でも共有したいことこそ
お手伝いできるのがグラフィックなんだ!と。

実際、この後、いろんな会議で
「そう!そんな感じ!」という言葉から
みんなが1つになっていく姿に立ちあうたびに

もとはしさんがニコニコ笑って「そう!そんな感じ!」
と言った姿を思い出しています。

それにしても雲の上の人と思っていた研究員のみなさんの
あまりにフレンドリーで楽しいやりとりに
「研究員の人たちってこんなに柔らかいの〜!?」
と、とにかくビックリ感動して言うと

他の研究員の方たちは笑って私に
「ゆにさん、みんながみんな、
 もとはしさんのような人じゃないですからね〜」
と教えてくれました。

そしてこの日から2年間。
私の金曜日の夕方は、大手町で
さまざまな研究者の取り組む技術を描き
その商用化をみんなで話し合う内容を絵巻物にしていくという
本当に貴重な経験と本当に楽しい時間が始まりました。

議論の後も、そのまま必ずみなさんと飲み会へ。
そこでまたひとしきり熱く笑える発想が広がって

事前勉強は本当に大変だったけど、私にとっては
研究員の皆さんの持つ知の深さと未来視点に感激し、
現実味を帯びた未来を描けるワクワクが止まらない時間でした。

この2年間の経験が今の私を創ったとっても過言ではありません。
これだけ「目に見えないもの」を描いたんだから
もうどんなテーマが来てもコワくないゾという
根拠のない?自信も持たせてもらいました。ちなみに上の9〜11枚目は (↑ 画像をクリックすると拡大して見られます。
もとはしさんの報告を受けて研究者の方たちが
「生活や暮らしがこれからのどう変わるか」
という話を語り合った内容なのですが

今では当たり前になっている世界を
2006年にはすでに描いていました。

例えば10枚目の右下。
「Cold Spot」という文字の下に
これ一応、氷山のつもりで描いた絵があるのですが

当時はまだ「ホットスポット」という言葉があって
「つながらない」「アンテナ立たない」と携帯を振っていた時代。

でも「これからなんでも繫がるゾ〜」という話から
「つながらないコールドスポットが欲しい!」
という声から描けた絵なのですが

まさに今、「つながりたくなーい」という声、聴きますよね。

ちなみに当時研究員のみなさんも
口をそろえて「欲しい!」とおしゃってました。
「つなぐ」仕事をしている人たちが
「滞りなくつなげよう」と研究している人たちが
「つながりたくない!」とおしゃっていたのが
当時の私には新鮮で、なんだかすごく、、、おかしかった(^^)♪
「ナアンダ、気持ちは私たちと一緒なんですね〜」と。

同じく10枚目の左下と上真ん中に
水色の3Dメガネをしている絵を描いたのですが
これは、私が「目に見えない通信の話を描くなんて
できるのかとドキドキして今日来ました」という言葉を聴いて

もとはしさんが「目に見えたら違うよね」
「見えるメガネがあったらいいよね〜」という話しから描けた絵。

人の言葉をしっかり受け止めてくれて
人柄同様、発想までも柔らかい、もとはしさんの言葉は
その後もいろんな場面で絵筆を走らせてくれました。

私の右手はいつまでも忘れません。

視野が広くて、視座が高くて、
そして低くて、温かくて、公平で
世の中の、技術も、人も、見守って、見通せる

そんな、もとはしさんという人との出会いから
私は私のGF人生に大きな大きな宝物を頂きました。

この感謝の気持ちと初心を忘れず、これからも
もとはしさんという人の存在を語り継ぎたいと思います。
GF会議の現場から : comments (x) : trackback (x)
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