こんにちは。グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこです。

今日グラフィックファシリテーションでお手伝いさせて頂いたのは早稲田大学さま。

『早稲田版 産学連携モデル ~イノベーションのための新しい知のプラットフォームを目指して』

COI=センター・オブ・イノベーション」とは 詳細は→ 文科省サイト
文部科学省 大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業(COIビジョン対話プログラム)採択プロジェクト「ライフサポートシステムの未来をデザインする対話プログラム」

学内の「阻む壁」にみんなで向き合ったワークショップ。

大学であっても「研究だけ」していてはダメだ。「実装」させなければいけない。という問題意識から、今後その実装の主体者となるコアメンバーのみなさんと「いかに従来の産学連携の壁を乗り越えるか」とことん現実の壁と向き合い腹を割って日頃抱えている問題意識「これまでの産学連携の壁」「なんとかならないの~!」と言いたくなる大学~企業間の壁、大学内の壁、供給側~需要側間の壁などなど、どんな壁が実装を邪魔しているかをとことん吐き出して頂き絵巻物にしてきました。@早稲田大学 西早稲田キャンパスにて

実装とは、もう少し詳しく言うと。未来からのニーズを探ってシーズとマッチングさせてイノベーションを創発するというふわっとした話ではなく、具体的に採択プロジェクト「ライフサポートシステムの未来をデザインする対話プログラム」をベースにながら本命は「イノベーションを対話により産み出す」という全く新しい産学連携モデルを開発・実践すること。

全く新しい「早稲田版イノベーション・エコシステム」を中長期的に構築することが本当の実装であると本プロジェクトは置いています。そんなプロジェクトのコアメンバーのみなさんと、今日は第一回目の初顔合わせから一気にざっくばらんな議論の場となりました。

きれいごとではない話は本当に描き甲斐があります。ネガティブな話にこそ、本気のポジが眠ってます。なんとかしたいハートがあるからイライラモヤモヤしている。モヤモヤしているものを絵にして目に見えるようにすると必ずハートがふつふつと出てくる。

そして、モヤモヤネガネガにこそ早稲田らしい絵、早稲田大学でしか描けない絵が描けてきます。今日は時間切れでしたが、まだまだ描けると思います。また、プロジェクトメンバーのみなさまには、日々の業務に戻ると、今日芽生えた火もクールダウンしてしまうことあると思います。そんなときにこそ、また絵巻物を見返して、今日の気持ちを思い出し再燃させて頂ければと思います。また、同じ気持ちを抱えているであろう方達に、この絵巻物を見せて、語って、思いを共有して仲間を増やすのにもぜひ使っていただければとも思います。仲間を増やすには、ありたい姿(ポジ)を説明するよりも、現状のモヤモヤネガネガを共有するのほうが、圧倒的に共感が速いです。

今回は事業実施責任者である理工学術院の高橋真吾先生の専門とされる「ソフトシステムズ方法論(SSM)」のもと対話が設計されました。その設計がグラフィックファシリテーションの「ネガポジ曲線が描ける流れ」とのあまりの相性の良さに魅了されました。

ソフトシステムズ方法論(SSM)」の言葉で書くと、「問題状況を特定、表現し(現実フェーズ)、各アクター(関連するシステム)の理想的な役割・機能と具体的なアクションを明らかにする理想フェーズへ」という流れ。

最初は「システムって???」どんな絵を描けばいいのかピンときてなかったのですが、高橋先生から教わったのは、ここでいう「システム」とは「アクターが意図を持って行う活動」あるいは「複数の活動の連鎖からなる活動全体」のどちらかとなるとのこと。どちらであるかは、考えている文脈から決まるとのこと。例えば、組織やチームやプロジェクトといった活動体も「システム」と呼べる(文脈もある)。今まで「システム」という言葉を聞くと(特にIT以外で使われているとき。例えば「システム思考」とか)どうも無機質な印象があったのですが、なんとここでは「システム」は、「意図」がとっても大事になってくるとのこと。「意図」とはまさにグラフィックファシリテーションでいう「ハートが描けるかどうか」ですo(^_^)o

「システム」の、現状フェーズでの課題(ネガ)を出し切った後は、理想フェーズで「システム」が、「誰が」「何のために、どういう意図(世界観ともいいます)の下に」「何をする活動なのか」を深く問うていくのですが、ここもまさに絵巻物で言う「ハートを問い続ける」と言い変えられるところ。

しかも、それをきちんと次の構成要素で明文化「基本定義 (RootDefinition)」していくのですが、「誰が(アクター)」「何のために」「何をする(すべき)か」。文字に書いてしまったら「もう逃げ道がない?!」みたいな感じが、まさに絵巻物で言う「絵空事に終わらせない」詰め方があってすごくイイなあと共感しかありません。よくある最後の宣言文やありがちなアクションプランとも全然違う効果的な方法論だと唸ってました。

普段の「システム」はそれぞれ置かれている立場や役割で「意図や世界観」は異なる、みんなベクトルがバラバラな状態。ときに「意図無き」まま活動しているシステムも多い。でも、そんな「異なる」意図や世界観で活動している複雑なサブシステムを、全体システムとしてどのようなアクションを取っていくのかを探っていくためにも、それぞれのシステムが改めて理想に向かって「誰が」「何のために、どういう意図(世界観ともいいます)の下に」「何をする活動なのか」を考えなおさないと「何をなすべきか」というアクションが考えられないという考え方だそうです。

詳しくは先生のサイトをご覧ください。
http://www.sci.waseda.ac.jp/research/CONTENTS/J/fd5e8ba4.html
ソフトシステムズ方法論(SSM)」とは複雑な社会システム,経営システムにおける問題解決もまた複雑性を持ちますが、そこへの有効な方法論として確立されているのがソフトシステムアプローチ。